東京地方裁判所 昭和37年(ワ)9723号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕被告は昭和三七年二月一日それまで被告が風俗営業取締法による営業許可を得て本件店舗で経営していた。客席で客の招待をして客に飲食させる飲食店であるクラブキヨにいわゆる雇われマダムとして雇われていた原告に対し本件店舗を転貸したが、右和解調書には被告は本件店舗を他人に使用させてはならない旨の条項があり、また、右和解の当事者であり、本件建物の所有者である金山直経外三名から被告に対し本件店舗について現状不変更の仮処分もされていたので、右賃貸の際被告は原告に対してこれらのことを告げ、右のような禁止を免かれるため原告は、本件店舗で右被告の営業許可名義でクラブキヨを経営し、その営業に関する料理飲食等消費税は被告が立替れて支払うことを定めたことが認められ右認定に反する原告本人尋問の結果は信用し難く、他にこれを左右するに足る証拠はない。右事実によれば、本件賃貸借が原告が右被告の営業許可名義で右営業を行なうことと不可分の関係にあることは明白であるところ、風俗営業取締法は同法所定の営業を営もうとする者は当該都道府県が条例で定めるところによりその公安委員会の許可を受けなければならない旨を規定し、風俗営業取締法施行条例(東京都条例昭和三四年一〇号)は右許可について一定の資格を定め、かつ、いわゆる名板貸を禁止しているから、右規定に違反し、無許可営業という違法状態を継続させることを目的とする右名板貸及び賃貸借契約は無効であり、その有効なことを前提とする原告のうべかりし利益喪失による損害賠償の請求は失当といわざるを得ない。また、右のような違法な営業に関する名誉信用は国の保護を受けるに値しないものと解するのが相当であるから、この点に関する原告の請求も失当である。(田嶋重徳)